社会保険労務士試験に、ユーキャンの通信講座で挑戦して1回目で不合格でした。
挑んだのは2025年8月実施の第57回(令和7年度)試験です。
30代の会社員、本業はIT企業勤務、勉強期間は約1年3ヶ月・累計約800時間。
1日も欠かさず継続したにもかかわらず、合格基準にあと一歩届かないという結果に終わりました。
この記事では、その全プロセスを正直に書き残しています。
- どんな勉強スケジュールで進めたのか
- ユーキャンの教材をどう使ったのか
- 試験当日に何が起きて、どこで足を踏み外したのか
- 800時間も学習したのに、なぜ落ちたのか
そして最後には、「これから社労士に挑戦する方」に向けて、不合格者の立場から伝えたいメッセージも残しています。
「社労士試験のリアル」を、合格体験記とは違う角度で知りたい方にとって、ひとつの参考になれば幸いです。
この記事を書いている私について
簡単に自己紹介と、この記事の前提を共有しておきます。
30代の会社員で、本業はIT企業勤務。
仕事はほぼ在宅で、月に数回オフィスに出社する程度です。
本業では半年単位の大型開発案件が常に走っており、日によっては遅くまで仕事が続くこともありました。
通勤時間を学習に充てられる分、いわゆる「働きながらの受験生」の中では有利な立場だったと思います。
社労士を目指したきっかけは、本業とまったく違う世界の知識を取り入れたいという知識欲からでした。
加えて、毎日新しい知識を手に入れるルーティンを自分の生活に組み込みたい、というのも大きな動機です。
ただ、「漠然と勉強する」だけでは絶対に続かないと自分でもわかっていたので、ゴールとして分かりやすい「資格試験」を設定することにしました。
難関と言われる資格をネットで一通り調べ、その中で一番興味が湧いたのが社会保険労務士でした。
受験スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験回数 | 1回目 |
| 結果 | 不合格 |
| 勉強開始 | 2024年6月 |
| 受験日 | 2025年8月(第57回・令和7年度) |
| 勉強期間 | 約1年3ヶ月(約450日) |
| 累計勉強時間 | 約800時間(概算) |
| 使用教材 | ユーキャン 社会保険労務士講座 |
| 仕事との両立 | ほぼ在宅勤務、繁忙期は遅くまで対応 |
1日あたりの勉強時間(時期別)
時期によって勉強時間はかなり変動しました。
- 初期(2024年6月〜12月):平日1時間/休日1〜2時間
- 中盤(2025年1月〜5月):平日1〜2時間/休日2時間
- 終盤(2025年6月〜試験直前):平日2時間/休日8時間
勉強開始日から試験当日までの約450日間、1日も欠かさず何かしらは勉強しました。
逆に言うと、この習慣化に成功してなお不合格だったわけで、社労士試験の手強さがよくわかる結果でもありました。
試験結果:あと何点で合格だったのか
結論から書くと、選択式・択一式の両方で合格基準に届かず、複数科目で足切りに引っかかっています。
具体的な点数を、実際の成績(結果)通知書の画像も交えて公開します。

科目別の得点は次のとおりです。
| 試験科目 | 選択式(基準) | 択一式(基準) |
|---|---|---|
| 労働基準法及び労働安全衛生法 | 2(3) | 3(4) |
| 労働者災害補償保険法 | 4(2) | 6(4) |
| 雇用保険法 | 3(3) | 2(3) |
| 労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1(2) | 8(4)※労一・社一合算 |
| 社会保険に関する一般常識 | 2(2) | – |
| 健康保険法 | 3(3) | 5(4) |
| 厚生年金保険法 | 4(3) | 5(4) |
| 国民年金法 | 3(3) | 8(4) |
| 総得点 | 22(22) | 37(42) |
※赤字は基準点未達の科目
整理すると:
- 選択式:総得点22点は基準ギリギリでクリア。ただし労働基準法・労働安全衛生法(2点)と労務管理その他の労働に関する一般常識(労一)(1点)で科目別足切り
- 択一式:総得点37点で基準点42点に5点不足。さらに労働基準法・労働安全衛生法(3点)と雇用保険法(2点)で科目別足切り
歯が立たなかったとまではいかないが、あと一歩というには遠い、不合格者としておあつらえ向きのサンプルではないでしょうか。
なぜここまで取れなかったのか、何が足りなかったのか——詳しい原因分析は記事後半でじっくり振り返ります。
なぜユーキャンを選んだのか
社労士の勉強を始めると決めた次に悩んだのが、「どこで学ぶか」でした。
結論から言うとユーキャンの社会保険労務士講座を選んだのですが、ここに至るまでの判断プロセスを書いておきます。
通学ではなく通信講座を選んだ理由
まず迷ったのは、TACや大原のような通学型の予備校にするか、通信講座にするか。
最終的に通信を選んだ決め手は、通勤時間がほぼ発生しないという自分の働き方でした。
まず、学習のために新たに移動時間が発生するのは効率が悪いと考えました。
また、一人で淡々と自習することも苦ではない性質です。
「在宅勤務という強みを最大限活かすには、学習も自宅完結にすべき」と判断しました。
ユーキャンを選んだ4つの理由
通信講座と決めたあとは、フォーサイト・アガルート・スタディング・クレアールなど選択肢が複数ありますが、自分の場合はユーキャン以外との細かい比較検討はあえてしていません。
理由は明確に4つあります。
1. 子供の頃からCMで見ていた安心感
単純な話ですが、ユーキャンはテレビCMで子供の頃から名前を聞き続けてきたブランドです。
「資格と言えばユーキャン」という刷り込みが自分の中にあって、心理的なハードルが一番低かったというのが正直なところです。
2. 比較検討より、まずは始めることを優先
これも率直に書くと、長期間を見据えた今回の学習では、講座会社の比較検討に時間をかけるよりも、さっさと行動に移すことのほうが重要だと考えました。
3. 母親が実際にユーキャンで学んで、仕事に繋げていた
これが意外と大きなポイントでした。
実母が昔ユーキャンの講座を利用して、それを仕事に繋げていた——という実体験を間近で見てきたので、「ちゃんと身につく教材を作っている会社だ」という信頼感が最初からありました。
レビューサイトの口コミ100件より、家族1人の実例のほうが説得力があるものです。
4. 過去利用者のレビュー記事を読み、教材の中身に納得した
最終的にネット上のレビュー記事をいくつか確認し、紙テキストに加えて動画講義や専用のオンライン学習サイトまで備わっていることを把握。
これだけ揃っていれば自分の学習スタイルに十分マッチするだろうと判断しました。
予算感と学習スタイルの相性
当時の予算感は5〜10万円を想定していました。
社労士のような難関国家資格に挑むなら、これくらいの自己投資は妥当だろうという感覚です。
学習スタイル面で言うと、前述のとおり自分はもともとひとりで座学する作業は苦にならないタイプです。
ただ、社労士の試験範囲を独学でゼロから組み立てるのは現実的ではないとも感じていました。
膨大な労働法・社会保険法の体系を、どこから手をつけてどこまでやれば合格ラインに届くのか——その「地図」を自分で作るのは時間の無駄が大きすぎる。
その点、ユーキャンの講座は「合格に必要な要点を絞って体系化してくれている」ことに価値があると感じました。
加えて、紙テキストだけでなくWeb上の学習サイトでスマホ・PCから学べる仕組みが整っていたのも大きい。
在宅勤務の合間や、移動中・外出先のスキマ時間も学習に充てられるイメージが持てました。
申込み前のイメージ
身内に利用者がいた安心感もあって、ユーキャンに対する不信感や疑念は申込み前からゼロでした。
むしろ、「どんな教材がどれくらいの量で届くんだろう」とプレゼントを待つ無邪気な子供の気分に包まれていました。
このときの自分は、まだ社労士試験の本当の手強さを知らなかったわけですが——その話はまた後ほど。
実際の勉強スケジュール(1年3ヶ月の全記録)
ここからが記事の本題、約450日間の勉強スケジュールを時期別に書いていきます。
「ユーキャンの講座を実際にどう使ったのか」「どんなペースで進めたのか」を、できるだけ具体的に残します。
ユーキャンから届いた教材一式
申込み後にユーキャンから届いた教材は、以下のラインナップでした(2024年6月時点)。
- メインテキスト 10冊(1科目1冊構成)
- 過去問題集(過去6年分)
- 添削課題(提出して採点してもらえる)
- 副教材:数字要件の暗記ブック、白書対策、直近の法改正対策など
- 専用Web学習サイトのアクセス権
テキストに対する第一印象は、「これを全部暗記するってこと…?」でした。
社労士試験の範囲の広さを、教材の物理的なボリュームで初めて実感した瞬間です。
初期(2024年6月〜12月):圧倒されながらインプット中心
最初の半年間はとにかくインプット中心。比率で言えばだいたい9:1くらいの感覚でした。
最初に意識したのは「丁寧さを重視しすぎずに、できるだけ早く社労士試験の全体像を掴む」ことでした。
社労士の試験範囲は10科目もあり、1科目目を完璧にしてから2科目目に進む、という進め方をすると、5科目目あたりに到達した頃には1科目目の内容を忘れているのは目に見えていました。
なので、まずはテキスト全体を通しで読み切って、10科目それぞれの輪郭を掴むことを最優先に。
学習サイトには各単元の要点をユーキャン講師が解説した動画講義があるので、テキストを読みながら併せて視聴。
1日に進める範囲は「1単元」と決めて、平日1時間・休日1〜2時間のペースで淡々と進めていきました。
テキストの2周目からはアウトプットも挟むように。
各単元には10〜20問程度のミニ問題集が用意されていて、インプットの定着を確認できます。
学習サイト上では各問題の正答率や直近の正誤を自動で記録してくれるので、苦手な問題だけまとめて取り組むこともできて便利でした。
過去問題集についても、学習サイト上で「この単元と関連する問題」を紐づけてくれていたので、ミニ問題集と一緒に使ってアウトプット教材として活用。
ミニ問題集+過去問の合計で2,000問以上あったのですが、年末までにこれらすべてに2〜3回は答えられるまでテキストを周回しました。
中盤(2025年1月〜5月):アウトプット中心への移行
年が明けてからは、アウトプットの時間を増やしました。比率は7:3くらい。
中盤の主役は、ユーキャンの学習サイトに搭載されている「優先度3段階システム」でした。
2,000問以上の問題が「高・中・低」の3段階で自動的に優先度付けされ、最後に解いてからの経過日数、正答率、直近の正誤などをもとに、サイト側が「次に解くべき問題」を提示してくれる仕組みです。
1月時点では、全問題のうち半分以上が「優先度:高」にある状態でした。
年末までに2〜3周したとはいえ忘却もあり、特に苦手分野が「高」に集中している、という現実がここでハッキリ見えました。
中盤の目標はシンプルに「最終的にすべての問題が優先度『低』に収まる」状態を作ること。
優先度の高い問題に絞って、1日あたり50〜100問を解き続けました。
間違った問題はもちろん、「何となくで正解してしまった」と自分が感じた問題も都度テキストに戻って復習——この姿勢は意識的に徹底しました。
終盤(2025年6月〜試験当日):実戦模試と最終詰め
試験まで残り2ヶ月。比率は完全に2:8まで振り切ります。
平日は引き続き1日50〜100問ペースのアウトプットを継続しつつ、追加で数字要件の暗記、白書対策、直近の法改正対策を副教材で学習。
社労士試験は「直近の改正点」が問われやすい試験なので、ここのインプットは終盤に集中させる戦略でした。
土日はガラッと変えて、まだ手をつけていない年度の過去問やユーキャンの添削課題を使って、自分の得点力を測る日に。
このときに徹底したのが、「本番当日の試験スケジュールと完全に同じタイムテーブルで解く」ということ。
試験当日の回答ペースと集中力の持続に強い不安があったので、ここは早めに「身体で慣らす」ようにしました。
そして試験直前までには、これらの過去問や添削課題で合格基準を上回る得点が安定して取れるようになっていました。
本番で結果が伴わなかった理由は別途分析しますが、模試レベルでは確かに手応えがあった——ということだけ書き残しておきます。
インプット vs アウトプットの比率推移
学習を3つの時期に分けたときの、自分のインプット/アウトプット比率はこんな感じでした。
| 時期 | インプット | アウトプット |
|---|---|---|
| 初期(2024年6月〜12月) | 9 | 1 |
| 中盤(2025年1月〜5月) | 7 | 3 |
| 終盤(2025年6月〜試験) | 2 | 8 |
数字だけ見ればロジカルに見える推移ですが、これが本当に正しかったのかは、後の原因分析パートで考え直すことになります。
スキマ時間の活用
在宅勤務の自分にとって、スキマ時間は「外で生まれる」ものではなく「家の中で意識的に作る」ものでした。
- 平日:基本は朝・夜の固定時間で学習。ペースが遅れている日は本業の昼休みにご飯を食べながら問題を解く(これは終盤限定)
- 休日の外出時:電車での移動中にスマホから学習サイトを開き、優先度高の問題をアウトプット
- 就寝前:暗記ブックでの数字要件チェック
スマホで完結できる学習サイトの存在は、こうしたスキマ時間活用の場面で本当に効きました。
模試と過去問の結果推移
社労士試験の受験生の多くが受ける外部模試と、自分が実際に重ねた過去問演習の結果について書きます。
ここは結果的に判断が割れたポイントだったので、当時の感覚を含めて残しておきます。
外部模試は受けない選択をした
ユーキャンの講座受講生として、外部の模試——TAC公開模試、LEC全国公開模試、大原の模試など——を受けることはありませんでした。
理由は単純で、ユーキャンから届く添削課題と過去問題集だけで「自分の得点力を測る教材」は十分にあると判断したからです。
土日に未着手の年度の過去問を本番と同じスケジュールで解けば、それが事実上の模試になる。
外部模試にプラスで時間とコストを使うより、ユーキャン教材を周回したほうが投資効率が高い、というのが当時の判断でした。
この判断が正しかったかは、原因分析パートで改めて検討します。
過去問の正答率推移
最終的な過去問の正答率は、全体でだいたい7割まで到達しました。
科目別ではかなりムラがあり、得意・不得意がハッキリ分かれていました。
| カテゴリ | 最終的な正答率の感触 |
|---|---|
| 得意科目(例:国民年金法) | 80〜90% |
| 中間層(多くの科目) | 70%前後 |
| 苦手科目(厚生年金保険法、一般常識) | 合格基準を安定的に超えられない状態 |
特に厚生年金保険法と一般常識は、何度繰り返しても点数が安定せず、模試代わりの過去問を解くたびに合否ラインを行ったり来たり。
ここが不安要素であることは、自分の中で明確に認識していました。
不安と確信が交互に来た、メンタルの推移
中盤から終盤にかけて、自分のメンタルは大きく2回揺れ動きました。
1度目:過去問演習序盤の「焦り」
中盤にアウトプットの時間を増やした直後、一部科目では2〜3割しか得点できない現象が頻発しました。
試験まで残された時間を考えると、「この状態でいったいどこまで仕上がるのか」という焦りが急速に強くなりました。
このときの自分を支えたのが、ユーキャン学習サイトの講師動画で繰り返し語られていた「直前期に一気に伸びる」というアドバイスでした。
半信半疑ではありつつも、ここで他の道に逸れる選択肢もなかったので、信じて周回を続けることに決めました。
2度目:試験直前の「確信」
そして試験直前期の最終盤。
初見の過去問を2連続で合格基準点以上取ることができ、「堅実にインプットとアウトプット両面を育てられた」と思える瞬間が訪れました。
正直に書きますが、この時の自分は完全に手応えを感じてしまっていました。
「これだけ仕上げたんだから、本番で大崩れすることはないだろう」と。
——あえて「自信を持ってしまった」と書くのは、この感覚こそが本番直前の自分の最大の落とし穴だったのではないか、と今は振り返っているからです。
詳しい原因分析は後ほど。
試験当日の結果と所感
試験前日〜当日朝:寝坊が一番怖かった
前日も普段と同じく学習はしましたが、新しい知識を詰め込むことはせず、テキスト全体を軽く見直すことだけに留めました。
直前にひっくり返るほどの知識追加はもう無理ですし、変に手を広げて混乱したくなかったからです。
何より一番怖かったのは、寝坊して試験会場にたどり着けないこと。
1年3ヶ月の積み上げが本番1回で台無しになる悪夢を回避するため、普段より2時間早く就寝しました。
当日の朝食は軽く済ませて、電車で試験会場の東京ビッグサイトへ。
9時ごろには会場最寄り駅に到着し、開場と同時に入れる位置取りでスタンバイしました。
試験会場の雰囲気——想定の倍以上だった
率直な印象は、想定していたより会場の規模がとにかく大きい。
駅からビッグサイトまでの道のりには、受験生らしき人の流れが途切れることなく続きます。
駅前には予備校・通信講座のスタッフが大量に陣取り、チラシやうちわを配っていました。
「老若男女」という言葉がそのまま当てはまる年代の幅で、杖をついて会場に向かうご高齢の方もいて、社労士という資格が持つ間口の広さを肌で感じました。
会場の中も同じく規模が大きく、複数のホールが試験会場として割り振られています。
自分の受験番号と案内板を照合して指定のホールに進むと、中には長机と椅子がブロック単位でずらりと並ぶ光景。
受験番号と座席の対応表から逆算するに、1ホールあたり2,000〜3,000人分の座席がありそうな規模感でした。
着席すると周りの受験生が思い思いの教材で最終確認をしており、自分も開始時間まで数字要件の暗記ブックでサッと確認して時を待ちました。
選択式(午前80分)——「怪しい雰囲気」と冷静さの綱引き
試験が始まり、まずは各科目のページをめくって全体感を把握するのが最初のルーティン。
——この瞬間、知らない判例ベースの文章が多く目に入り、いきなり怪しい雰囲気が立ち込めます。
ただし冷静になって穴埋め箇所と前後の文脈を読めば、学習してきた知識を組み合わせて回答できるものは多かったです。
パニックになって思考停止する事態は避けられたという意味で、ここまでの1年3ヶ月の積み上げは確かに活きました。
それでも、解いている最中ずっと頭の片隅にあったのは「各科目で基準点の3点以上は取れているか?」という不安。
手応えは決して強くなく、ボーダーラインの上を綱渡りしている感覚のまま80分を走り切りました。
昼休み——速報を見たい衝動を抑える
昼食は会場に向かう前にコンビニで買っておいたおにぎりで軽く済ませました。
このとき一番の誘惑は、スマホで解答速報を見て、選択式の自己採点をしてしまうこと。
当然気になる。
でも、ここで結果を知って動揺すれば、午後の択一式210分のパフォーマンスに悪影響しかありません。
そう判断して「選択式はもう終わったこと、いったん受かったものとして考えて、午後の択一式に全集中する」とメンタルを切り替えました。
周りの受験生を眺めると、それぞれが午前の手応えに思うところがあるんだろうな、と妙にしみじみした記憶があります。
択一式(午後210分)——想定外は労基・雇用から来た
午後の試験開始と同時に、択一式も最初にパラパラとめくって全体感を確認。
そして——何かおかしい。
具体的には、労働基準法と雇用保険法で「聞いたこともない観点の問題」が大量に目に入ってきたのです。
事前に自分が警戒していたのは、後半の社会保険科目——苦手だった厚生年金保険法と一般常識でした。
逆に労働保険科目で未知の問題が大量に出ることは想定していなかった。
「未知の問題があっても1〜2問が限度で、基準点には届くだろう」と高を括っていた科目で、いきなり梯子を外された格好です。
とはいえ戸惑っていても時間は減るだけ。
労基と雇用は後回しにして、他の科目から手をつける戦略に切り替えました。
他の科目も初見の問われ方をする問題が散見されたものの、学習した知識と直感を頼りに回答を進めます。
特に国民年金法は確信を持って解答できる問題が多く、ここでようやく落ち着きを取り戻せました。
そして最後に回した労基と雇用。
正直、確信を持って答えられた問題はほとんどなく、「これまで学習してきた各法律の性質的に、この文章はアリかナシか」という観点で最も回答になりそうなものを選ぶ戦いになりました。
試験終了直後——「清々しい気持ち」だけが残った
会場を出たときの率直な感想は、手応えゼロ、自信ゼロ。
明らかに未知の相手と殴り合った感覚だけが残っていました。
ただ不思議と未練はなく、継続してきた学習はほぼ出し切れたという感覚はあって、清々しい気持ちで会場を後にしました。
帰宅後の自己採点と、結果発表までの2.5ヶ月
帰宅後、ある程度戦えた感覚のあった選択式だけは自己採点を実施しました。
結果、労働基準法及び労働安全衛生法で合格基準を満たせていなかった——この時点で自分の中では負けを認めました。
それ以上の自己採点は行わず、結果通知を待つことに。
翌日からは、学習に充てていた時間がぽっかり空きます。
しばらくはリフレッシュを優先して他の趣味に時間を使い、本業の開発案件もちょうど本格化していたので、結果発表まで2.5ヶ月はあっという間に過ぎていきました。
成績通知書を開いた瞬間
10月下旬、自宅に成績通知書が届きました。
「不合格」の文字は——すでに気持ちの準備ができていたので、特段の落胆はなし。
それより驚いたのは、択一式で思ったより得点できていたことでした。
本番中は直感で選んだ問題も多かったので、運が上振れた可能性も否定できませんが、それでも1年3ヶ月の学習の成果だと思いたいところです。
そして案の定、当日面食らった労働基準法や雇用保険法は得点が低く、「学習との差がもろに出た」結果になっていました。
不合格の原因分析
ここからは、不合格を引き起こした要因を、自分の学習プロセスにさかのぼって考察します。
試験当日に直面した「想定外」がなぜ起きたのか、振り返ってみると戦略レベルで複数のミスが連鎖していたことが見えてきました。
ユーキャン教材そのものの問題ではなく、自分の使い方・戦略選択の問題として書きます。
敗因①:アウトプット偏重で「テキストの読み込み」が不足した
最大の敗因はこれだと思っています。
H2:3で書いたとおり、自分の学習の主軸は「ユーキャンが用意した2,000問以上の問題すべてに正答できる状態を作ること」でした。
中盤以降は学習サイトの優先度システムを使い、苦手な問題を優先度「低」に収めることを徹底。
インプットとアウトプットの比率は最終的に2:8まで振り切りました。
問題は、この戦略の裏返しです。
問題として用意されていないテキスト記載の情報や判例については、読み込んだ量が圧倒的に少なかった。
本番で「見覚えのない文章」が大量に出題された理由は、これに尽きます。
問題ベースで学習した自分にとって、「問題化されていない範囲」は単純に「読まなかった範囲」になっていました。
さらに想定外だったのが、「正しい/誤った選択肢の数を答えよ」というタイプの出題が多かったこと。
普通の択一式なら、5つの選択肢のうち「違和感がある文章を1つ見つける」だけで正解にたどり着けます。
しかし「数を答えよ」型では、5つの選択肢すべてに正誤の確信を持つ必要があります。
求められる集中力と知識の定着度が段違いで、思った以上に時間と思考を消費させられました。
この出題形式に耐えるには、テキストの隅々まで覚え切っていることが前提になります。
問題への正答に最適化された学習では、ここに穴ができました。
敗因②:過去問の周回が「答えを覚える作業」になっていた自覚
過去問の周回の中で、知らず知らずのうちに「見慣れた問題の答えを覚える作業」になってしまっていました。
特に他の法律とごっちゃになりやすい数字要件や条文に対しては苦手意識が強まっていき、その問題に取り組む時間が偏っていきます。
「この問題のこの選択肢は◯◯だから誤り」という暗記が、いつの間にか問題と答えの紐づけ作業に近づいていた——これは認めるしかありません。
ただし、ここで「条文の本質を理解していれば初見問題にも対応できたはず」とまとめるのは、自分の実感とはズレています。
社労士試験の対策はそういった「本質理解」の試験ではなく、どれだけ広範な情報に目を向け、暗記できていたかという戦いだったと、振り返ってもそう感じます。
つまり問題は「深さ」ではなく「広さ」。
そして自分の学習は、その「広さ」が足りなかったのだと振り返って感じています。
敗因③:外部模試を受けず、戦略修正のきっかけを得られなかった
H2:4で書いたとおり、外部模試(TAC・LEC・大原など)は一切受けませんでした。
「ユーキャンの教材だけで十分」と判断したからです。
しかしながら、もし直前期に外部模試で手痛い失敗体験をしていたら、自分の学習に何が足りていないかに気づき、学習の目を向ける先を増やせた可能性がありました。
具体的には:
- アウトプット偏重で「テキストの読み込み量が足りていない」ことに気づけた
- 「数を答えよ」型のような出題形式の幅に事前に触れられた
- 自分の戦略を客観視するきっかけになった
「本番のタイムスケジュール通りの体験」だけが目的なら、土日に未着手の年度の過去問を解く形で代替できます。
実際それは終盤に何度もやりました。
しかし「出題の幅広さに触れる」という観点では、場数が足りていなかったのだと思います。
外部模試はもっと早い段階から、複数回受けるべきでした。
敗因④:「黙々と続ければ伸びる」を信じすぎて、戦略を見直さなかった
H2:4で書いた「直前期に一気に伸びる」というユーキャン講師動画のアドバイス。
これを自分は「黙々と今の学習を継続していれば着実に得点力が上がる」と都合よく解釈していました。
実際、直前期に向けて週ごとに模試の得点力は確実に上がっていき、頭から引っ張り出せる情報量も増えていく実感がありました。
手応えとしては正しい方向に進んでいました。
もちろん「自分の学習方法が最適とは限らない」という自覚は常にありました。
とはいえやれることには限りがありますし、学習ペースを落とさず淡々と継続することを優先したのです。
これは「自信過剰で油断した」のとは少し違います。
直前2連続で合格基準を超えた後も、学習量を緩めたつもりはありません。
淡々と継続することをモットーに、最後まで濃度を保ち続けた——これ自体は胸を張れる事実です。
問題は別のところにあって、「淡々と継続する」ことに集中しすぎて、「やり方そのものを疑う」視点を失っていたこと。
外部模試を受けないという判断も、ここに連なります。
「続ければ伸びる」を信じることは、裏を返せば「自分の戦略をひっくり返すきっかけを作らない」ということでもありました。
これに気づけたのは、本番当日のことでした。
結論:800時間という「量」は妥当、問題は「時間の使い道」
ここまで4つの敗因を並べましたが、800時間という学習時間そのものが圧倒的に足りなかったとは思っていません。
実際、得点的にも「全く歯が立たなかった」レベルではなく、択一式の総得点は基準点まで5点差、選択式の総得点は基準点ジャストまで届いていました。
問題は「その800時間をどう使ったか」です。
| 反省ポイント | 改善方向 |
|---|---|
| アウトプットに偏りすぎた | テキスト読み込みの時間をもっと確保すべきだった |
| 問題化されていない範囲が穴になった | 副教材(白書・法改正)も含めてインプット強化 |
| 自分の戦略を客観視する機会がなかった | 外部模試を早期から複数回受けるべきだった |
| 「広さ」より「深さ」に時間を使った | 苦手な数字要件への偏りを減らし、全体の網羅性を優先 |
800時間というリソースを、「インプット強化」と「実践模試」にもっと振り分けていれば、時間単位あたりの知識の幅はもっと出せたはずです。
——これが、1回目の社労士試験を1年3ヶ月・800時間かけて挑戦した自分の、現時点での結論です。
次回受験に向けて変えること
不合格通知を見てから、しばらく経った今、率直なところを書きます。
即座のリベンジ受験はしない——元々の目的に立ち返って
結論から書くと、直近の受験予定はありません。
この記事を書いている時点で、次回(2026年8月)の社労士試験には申し込んでいない、ということです。
不合格だった人間が「次は受けない」と書くのは、記事として弱く感じるかもしれません。
ただこれは、自分の中で勉強を始めた目的に立ち返った結果の決断です。
H2:1で書いたとおり、自分が社労士に挑戦した動機は、「本業とまったく違う世界の知識を取り入れたいという知識欲」と「毎日新しい知識を手に入れるルーティンを生活に組み込みたい」という気持ちでした。
「社労士に関わる法律の世界を初見の状態から学ぶこと」自体が最大の目的だったわけです。
そして1年3ヶ月・800時間の学習を経て、労働法と社会保険法の基礎は確実に自分の中に染み込みました。
労基法、雇用保険、健康保険、年金——これらの仕組みを学ぶ前と後では、ニュースの見方も自分の働き方の捉え方も明らかに変わっています。
もちろん、いずれ「社労士の資格取得そのものが目的」になる場面が来るかもしれません。
その時には、今回の経験をすべて活かして再挑戦するつもりです。
今回の結果をただの「失敗」ではなく「次回の挑戦へ向けたフェーズ1」として位置づける——それが今の自分の整理です。
もし再挑戦するなら、教材は再びユーキャンを取り寄せる
ここからは「もし再挑戦するなら」という仮定で書きます。
教材について先に書いておくと、自分は改めてユーキャンの教材を取り寄せるだろうと思います。
理由はシンプルで、教材の基礎知識部分は重複してしまっても、法改正対策の副教材と、学習サイトを通じたアウトプットの習慣化という点で、ユーキャンの仕組みは非常に心強かったです。
今回の学習期間中にも細かい数字要件の法改正があったように、再挑戦までの年月が長くなるほど、いま頭に入っている知識は風化して使い物にならなくなります。
最新の法改正に対応した教材を一から手に入れる必要があるなら、勝手知ったるユーキャンに戻るのが最も効率的、というのが今の判断です。
ただし、教材を同じにする一方で、外部模試の受け方は確実に変えるつもりです。
詳細は次節で。
学習方針として変える4つのこと
H2:6で挙げた4つの敗因に、それぞれ対応する形で改善案を整理します。
1. インプット強化——メインテキストの周回回数をシンプルに増やす
最大の敗因だった「テキスト読み込み不足」への対応は、やることをシンプルに増やすだけ。
各科目のメインテキストを今回より明らかに多く周回し、問題化されていない範囲も含めて隅々まで読み込む時間をスケジュールに組み込みます。
「インプットよりアウトプットが大事」という学習論自体は正しいと今でも思いますが、社労士試験に関しては「テキストに書かれていることを全部覚えることがインプット完了の最低条件」くらいの前提で臨むべきだったと振り返っています。
2. 実践模試を年明け1月から開始する
外部模試を一度も受けなかった反省を踏まえて、次回は年明け1月から実践模試に取り組み始める計画を立てます。
本番(8月)までに7ヶ月の助走があるので、ユーキャンの添削課題+他社の公開模試を交互に挟むイメージ。
模試の目的は得点を測ることだけではなく、自分のカバー範囲外の出題傾向を発見して、残りの学習計画に取り込むこと。
今回最大の落とし穴だった「自分の戦略を客観視する機会の不在」を、模試の場数で埋めます。
3. 苦手科目への取り組み方——テクニックよりも単純な回数
苦手だった労基安衛・労一・雇用・厚年については、何か特別なテクニックがあるわけではなく、単純に他の科目よりインプット・アウトプットの回数を増やすだけだと考えています。
「苦手だから捨てる」という選択肢は社労士の科目別足切り制度がある以上ありえないので、結局愚直に量を積むしかないと考えています。
4. スケジュール全体——9月開始の1年計画が理想
今回は学習を思い立った2024年6月から始めましたが、これは「戦略的な開始時期」ではなく「思い立ったタイミング」でした。
次回も突発的に挑戦したくなる可能性はあるものの、戦略的にスタート時期を見定めるなら9月開始がベストだと思っています。
理由は2つ。
- 社労士試験は毎年8月実施で、翌年の試験までちょうど1年の助走になる
- 9月〜12月の4ヶ月でインプットを完了させて、年明け1月から実践模試スタートというスケジュールが、上記の改善方針と最も整合的
「6月開始で1年3ヶ月」と「9月開始で1年」は、トータル時間はそれほど変わりませんが、後者のほうが学習サイクルの設計がしやすく、中だるみも起きづらそうかなと思います。
これから社労士に挑戦する人へ
最後に、これから社労士に挑戦しようとしている方、いま勉強真っ最中の方に向けて、個人的に伝えたいことを書きます。
大前提——「挑戦する試み」そのものに価値がある
目的が何であろうと、社労士に挑戦しようとする試みそのものが素晴らしいと思います。
学習の過程では各法律がどのような目的で制定され、どのような背景で変化していったのかという歴史的・社会的な文脈に触れることになります。
これは突き詰めれば、日本という国の成り立ちの一端を学ぶことそのものであると考えます。
労災保険がなぜ生まれたのか。
年金制度はなぜ何度も改正を重ねてきたのか——こうした「法律の物語」に触れる経験は、不合格という結果に関係なく、自分の価値観に確かな厚みを与えてくれました。
社労士の勉強は、資格を取るための作業である前に、現代日本の働き方・暮らし方を構造から理解する学習です。
挑戦する時点で、その学びの入口にはもう立っているのだと思います。
そして、学ぶだけでなく見事に社会保険労務士の試験合格まで到達した方々のことは、本当に尊敬しています。
自分の体験は「ひとつの参考」にすぎない
ここまで読んでくださった方には改めて伝えたいのですが、学習方法はもちろん人それぞれです。
この記事に書いた自分の進め方や反省点が、必ずしも正解とは限りません。
ユーキャンの教材だけで合格した人もいれば、独学で突破する人も、複数の予備校を併用して受かる人もいるかと思います。
1日2時間×1年で受かる人もいれば、3年かけて到達する人もいる。
自分の体験は、数ある攻略パターンのうちのひとつのサンプルにすぎません。
それでも、これから挑戦しようとしている方にとって、「800時間勉強しても、戦略を間違えれば落ちる試験」というリアルが、ひとつの参考になれば幸いです。
ユーキャンを検討している人へ
ユーキャンの社会保険労務士講座を検討している方には、フェアな立場で2つだけ伝えさせてください。
まず、不合格だった自分の言葉に説得力は生まれづらいかもしれないということを前提にした上で、それでもユーキャンは間違いなく学習の柱として心強い教材でした。
メインテキストには各章の要所要所に効率的な学習アドバイスが散りばめられているので、「何から手をつければよいかわからない」という社労士初学者にとっては特におすすめできます。
広大な試験範囲の中で「ここは特に押さえるべき」「ここはこう覚えると整理しやすい」という指針を、テキスト自身が示してくれる安心感があります。
もうひとつは、自分が陥った罠への注意喚起です。
ユーキャンの教材は「用意された問題にすべて正答できる状態」をひとつのマイルストーンとして提示してくれます。
これ自体は正しい指標ですが、自分はそこにこだわりすぎた結果、学習の幅が狭まり、本番で痛い目を見ました。
ユーキャンの教材は強力なベースにしつつも、「教材の中だけで完結させない」——市販の予想問題集、他社の公開模試、白書、法改正情報など、外の世界の風にもこまめに当たることも選択肢の一つだと思います。
実務的なアドバイス——受験申込の準備は早めに
最後に、これは完全に実務的な注意点です。
社労士試験は受験申込の段階で、受験資格の確認や公式サイトへの登録手続きが必要になります。
直前になって慌てないよう、勉強を始める時点で公式の情報源を一度チェックしておくことをおすすめします。
申込期間や必要書類は年度によって変わる可能性もあるので、毎年最新の情報を公式サイトで確認するのが安心だと思います。
まとめ
長い記事を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
1年3ヶ月・800時間をかけてユーキャンの社会保険労務士講座に取り組み、結果は1回目で不合格——というのが今回の体験記の核です。
最後に、自分なりに整理した要点を残しておきます。
今回の挑戦の総括
「社労士に関わる法律の世界を初見の状態から学ぶ」という元々の目的は達成でき、非常に有意義な時間でした。
労働法・社会保険法の基礎知識、そして日本社会を構成する制度への新しい視点——これは800時間の学習で確実に手に入った財産です。
一方で、合格基準にあと一歩届かなかった現実もあり、その理由を真正面から振り返ったのがこの記事です。
この記事の核となる学び
社労士試験を通じて、自分の中で言語化できた一番の教訓はひとつ。
「淡々と続ければ伸びる」を信じることは、「やり方そのものを疑うきっかけを作らない」ことでもある——これに尽きます。
継続は確かに大事。
でも、継続の中で立ち止まって自分の戦略を客観視する瞬間を、意識的に作っていく必要がある。
社労士試験の文脈で言えば、外部模試はその「自分を疑うきっかけ」として機能していたはずでした。
これは社労士試験に限らず、長期で挑むすべての学習・挑戦に共通する教訓だと感じています。
この記事を残す意味
私自身、社労士試験への即座のリベンジは予定していません。
ただ、目的を見直して再挑戦するときが来たら、この記事はそのときの自分への申し送りにもなります。
「1年3ヶ月・800時間勉強しても、戦略を間違えれば落ちる試験」——その事実を、不合格者の立場から正直に書き残しました。
これから社労士に挑戦する方や、挑戦を迷っている方の、ひとつの参考になれば幸いです。
長文をお読みいただき、改めて本当にありがとうございました。


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